午前、妻と店へ向かった。パンを焼く。
荷物を置いて、私だけ帰宅した。本業の仕事を進めた。
正午ごろ、再び店へ。すでにパンが焼き上がっていた。
ドイツ製の大きな窯で焼いたパン。今まで自宅のヘルシオで焼いたそれより、クープが大きく開き、エッジが鋭かった。
これから次のパンを窯入れするというので、私がやってみた。初めてだ。
柔らかくてベタつく生地を、大きな窯の奥にきれいに並べるための道具があった。1メートル四方で、ステンレスの角材や丸材に、キャンバスが組み合わさった構造だ。
生地を並べて器具を持ち上げた。釜にセットして、キャンバスを巻き取った。生地が静かに落ちて、窯の中に並んだ。器具を外して、下ろした。やり方が違う、と妻に指摘された。
大の男にも、器具は重かった。この店は、先月まで大家さんが自らパン屋を営んでいたのだが、高齢の彼女がこんな重労働をしていたのだ。
もっと続けたかったけど。彼女はそう口にして笑っていた。
容器や布巾を洗った。店の間取りや器具を置くスペースを確認した。あちこちを軽く清掃した。
焼き上がったパンを袋に包んだ。大きなトートバッグに詰めた。自宅で梱包して、知人に送るらしい。