52歳になった。彼女は欲しかったボールペンをプレゼントしてくれた。
スーパーで買い物して、道路を渡った。彼女が、ムクドリが騒がしいと言った。見下ろすと、今渡ってきた道路でムクドリとカマキリがにらみあっていた。カマキリはカマを振り上げた。ムクドリが飛びかかった。カマキリがひっくり返った。バスがやってきた。ムクドリはカマキリをあきらめて飛び上がった。
バスが去った。カマキリを助けようか、と一歩踏み出した。ムクドリが引き返してきて、カマキリをくわえて羽ばたいた。目で追った。美容院の建屋の端から、彼の尻尾だけが見えた。食事してるんだろう。
道路を見下ろすと、緑色のカマキリの足が一本、落ちていた。
帰宅して、買ってきた新高梨を切った。
かむとかたくて、果汁が口の中にほとばしった。