大学中退で鬱病で無職だった妻が、起業して始めて事業を成功させました。なんだかスゴいなーと思うのでこれまでの軌跡をまとめておきます。
彼女は大学中退で無職で鬱病で
出会ったとき彼女は22歳。私は44歳で、歳が半分の女性とお付き合いしてたわけです。
彼女は、「歳が半分の若者」という点を差し引いても、いろいろと変でした。
大学中退後は無職で、「シューマイにグリーンピース乗せる」ようなバイトをたまにやったり、気に入らないから止めたり。
生活リズムがグダグダで睡眠時間がえらく長い。数週間寝込むこともあります。
いっしょに住みはじめたらそういうことがわかってきて、私はできるだけ規則正しいリズムで生活したい人なんだけど、他者にまでそれを強要できないしなー、ということで放っておきました。
好きにしなはれ、と。
でもあんまりおかしいので引きずって医者に連れて行ったらうつ病の一種だと診断され、むりやりに頑張らせなくて正解だったなーと胸をなで下ろしました。
ブログを書かせてランサーズでライターやらせてみたら
彼女は「美しさ」というか、「顔の造型の良さ」に異様な執着を持っていました。美容整形もすでに何度かやっていて。
病んでるな、というのはツイートを読んでたらわかりますね。味わい深い。
もっと長文書いたらおもしろいだろうと、すでにレンタルサーバにWordpressをインストールして自分のブログ書いてた私は、もうひとつWordpressをインストールし、「美しくなければ生きていけない」というタイトルを勝手につけて(レイモンド・チャンドラーの「タフでなければ生きていけない〜」みたいでカッコいいよね)、彼女に「なんか書いてみなはれ」と投げてみました。
すると彼女はガーッと書き始めて、暗い情念というか、燃えるような執着を抱えた者が書くテキストは迫力があっておもしろいなーと思ってたら、あっという間にPVも収益も私のブログを追い越していきました。
ランサーズでライターやってみなはれ、とすすめたら「在宅でやれるならいっちょやってみるか」と書き始め、横から見てると報酬の低さが地獄でしかなかったんですけど、それでもコツコツと彼女は仕事をこなし、納期は守るし文章もきちんと書けるしで文字単価は順調にアップし、ついにはブログやツイッターアカウントに直接仕事の依頼が舞い込むほどになってました。
狂うほどに執着すれば武器となる
彼女の美容整形への執念は強く、とうとう頭蓋骨と顎を切断加工して顔を小さくする「ルフォーSSRO」という手術をして別人のように顔を変え、それだけでは飽き足らず、ルフォーSSROという手術が好きすぎてツイッターで医師とからんだり、口腔外科の学術書を読みあさったりするように。
ツイッターでも美容整形アカウントとしてフォロワーが増え、顔の造型に悩む女性からの相談が増え、実際に相談者と会ったりするようになりました。
美容整形したい女性からすれば、すでにその美容整形をした女性を肉眼で確認し、話をきくのは、得がたい経験なんでしょうね。
世の中にはいろいろな「困りごと」があって、その解決を手助けできるような強みは武器となり、人が集まるのだな、と横から見ていて感じました。
その「強み」を得るには、狂うほどに執着して、なにかを追い求めなければならないのだな、とも。
美容カウンセラーとして初めての報酬をいただいた嫁
そんなこんなで「あなたにお会いしたい」という依頼が増え、しまいには美容整形を通り越して人生相談みたいな案件も増えてきました。
女性の美醜には少なからず人生がつきまとうようで、そんなヘビーな話をきき、精いっぱい応答して帰宅した彼女は疲れはてて「もうこんなんせえへんで」と寝込むこともありました。
それでも美容整形を愛している彼女は、依頼があれば喜んで出かけていきます。しかし時間と交通費は負担になるし、気軽にアポを入れておいて気軽にキャンセルするような人も出てきて、いよいよビジネスとして展開するときかな、と決断して、おカネを頂戴して顔の悩みをカウセリングする、というサービスをスタートしました。
と思ったら、いつのまにか、複数人を対象とした有料セミナーまで企画して、ツイッターで通知したらあっという間に満席となり、先日それが無事に終わったところ。
手間や、会場のレンタル費などを勘案するとぜんぜん赤字なのだが、自分ひとりで有料の講座を企画し、お客さんから報酬を頂戴し、実施し、成功させた、というのが感慨深い。
あのニートが。鬱で無職で寝込んでいた彼女が。
- 2019-02-10初出