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日記

「プロジェクト・ヘイル・メアリー」と「三体」に民主主義と専制主義を見た

プロジェクト・ヘイル・メアリーを読みました。ちょっと読み始めたら止まらず、土日が終わっていました。おもしろかった。

読んで考えたことをここに書きます。まだ読んでない人は離脱をおすすめします。いいですか。では書きますよ。

宇宙が舞台のSF。異星人との邂逅。地球が滅ぶかも。そういった話が展開されていきます。どうしても「三体」と対比してしまいますね。

三体における異星人と人類との関係は(というかすべての異星人間の社会的な関係と言ったほうがいいか)、第二部のサブタイトル「黒暗森林」です。

星は、他の星に見つかってはいけない。星は、他の星を見つければ即座に攻撃して滅ぼす。そうしなければこちらが滅ぼされる。これが三体における全宇宙に存在する知的生命体の考え方です。

2022年。専制主義国家と民主主義国家の分断が鮮明になっています。平和ボケした日本の一市民である私からすれば、ウクライナとか台湾に手を伸ばすよりみんな仲良くしたほうがトクじゃないか、と思うんですけども、専制主義国家とは「黒暗森林」の中にいるようなものらしい。周囲を疑い、先制して自己を拡大しようとするしかないらしい。

いっぽう、プロジェクト・ヘイル・メアリーにおいては、異星人はフレンドリーです。いきなり船を寄せてくる。助けてくれるしこちらも助ける。猜疑心よりも好奇心が勝り、共同で問題解決に当たり、友情を育みます。

三体は専制主義国家で書かれ、プロジェクト・ヘイル・メアリーは民主主義国家で書かれました。両作品とも、単体でも時を忘れるほどおもしろい。読み比べれば、他者との関係性がこれほどまでに正反対なのか、というおもしろさがあります。