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日記

あのオジさんを投げ飛ばせ

料金所の手前は渋滞していた。ブレーキを少しずつ踏んだ。車が減速して停車した。

数十秒して、視界に違和感があった。ルームミラーに目の焦点を合わせた。後に急角度で車が来ていた。その角度でその距離はぶつかる。と思ったら衝撃。車がゆれた。

車の流れが切れるのを待って、我々は右の路肩に車を寄せた。相手が降りてきた。髪がボサボサで、半分が白髪で、ジャージで足元はサンダルのおじさんだった。彼は何度も謝罪すると、警察に連絡しましたので、とマスクの奥から言った。

車を降りた。空は灰色。気温は低い。歯がガチガチと鳴る。空気は肺に入れたくないようなにおいがした。大量の車が、我々の横を通り過ぎていく。彼の車はグレーで丸っこいコンパクトカーだった。今ついた傷がどれかわからないほど、傷と汚れが多かった。私の車は、後方のバンパーの右角にこすり傷ができていた。

それにしても寒い。仕事に間に合うのか。なんてめんどうなんだ。おじさんを反対車線に投げ飛ばして家に帰りたい。おじさんは小さいから、頑張ればやれる。それ以上妄想するのはやめた。

車内でパトカーを待つ。この渋滞の中だと、30分以上かかるだろう。なぜおじさんは、あの角度で突っ込んできたんだろう。あとで聞いたところでは、左車線から、中央車線に停車している私の後ろをかすめて右車線に行きたかったようだ。理解できる操車ではない。だから車があんな状態なんだ。

我々は右車線をつぶしている。車内で寒さにふるえながら、後続車が左ウィンカーを出して徐行で追い抜いていくのをながめた。たまに道路脇に車が2台とパトカーが停まって不機嫌な顔をした運転手たちと警察官がなにか話している場面を見かけるが、あれをこれからやるわけだ。

40分たった。パトカーがやってきた。料金所の脇にあるスペースまで誘導された。検分が終わって解放された。合計1時間をロスした。

料金所を通過すると、渋滞はますますひどくなった。