パワーブロック、ボウフレックス、フレックスベル。こられは簡単に重量を変えられるため「アジャスタブルダンベル」などと呼ばれる。
簡単に重量を変えられても、使い出したら変わってはいけない。頭上にあげるようなエクササイズ中にウェイトが落下すると、命に関わるからだ。
簡単さと、安全。このふたつを両立するため、アジャスタブルダンベルはちょっと複雑な構造で、それぞれ特徴も異なる。ここでは、代表的な3種のアジャスタブルダンベルについて、ジムのインストラクターや、実際につかっているユーザーから聞いた話をまとめた。
32kgでいいならフレックスベル 40kg欲しいならパワーブロック
このあとにそれぞれのダンベルのメリットとデメリットを書き連ねるけど、長くなるので先に結論を。
フレックスベルがいちばんいい。ただし、32kgまでしかないけど。
2020年3月に、フレックスベルの新型「インクリメントエディション」が登場した。形状はほぼ従来型と変わらず、2キロ刻みで重量変更が可能となった。従来型は4キロ刻みだった。
▲コロナ禍によるステイホームのせいか入手できるのは当分先だ
▲従来型は約8000円安いが
少し安くとも、4キロ刻みの従来型を今から選ぶ理由はないのだけど、楽天のショップによれば新型の次回の入荷は11月だ。
今すぐ欲しくて、従来型の在庫が見つかれば、買ってしまうのもいい。
また、なぜかアマゾンでは2kg刻みのタイプは検索してもヒットしない。
フレックスベルの重量は片側32kgまでなので、それでは軽すぎる、という場合はボウフレックスかパワーブロックを選ぶこととなる。
▼ボウフレックス
しかしボウフレックスは流通していない。
数年前まではコピー品も入手できたが、現在ではそちらも流通が薄いようだ。
▼パワーブロック40kgタイプのコピー品
40kgタイプの2個セットで約35000円。安い。
パワーブロックは2016年にモデルチェンジしてて、そのコピー品と思われるタイプも流通しはじめた。
▼新型パワーブロックのコピー品、23kgタイプ
2個セットでこの安さ。
新型パワブロのこのスパルタンな感じ、たまらない。40kgタイプのコピー品があれば欲しい。
ということでまとめると、32kgでいいならフレックスベルの2kg刻みであるインクリメントエディションなんだが、入手難。もっと軽くてよければ、パワーブロックの23kgタイプとなる。
40kgが欲しいならボウフレックスもいいが、これも入手難。現実的にはパワーブロックのコピー品、ということになる。
パワーブロックのメリットとデメリットまとめ
パワーブロックは、アジャスタブルダンベルとしては最も古く、歴史がある。2016年にモデルチェンジして、黒一色のスパルタンな雰囲気になった。
ここではユーザーが多い旧型のレビューをまとめる。パワーブロックは品質が低いコピー品も出回っていて、それらのレビューも混ざってるはず。
- リストストラップが巻きにくい
- オンザニーしやすい。通常のスクリューシャフトのダンベルでオンザニーするとシャフトで大腿部が傷だらけになる
- アームカールなどでピンがズボンに引っかかることがある
- ピンがカラダをひっかくことがある
- 本体のゆがみのせいで、ピンを刺していないブロックまでついてくることがある
- 構造上、重心がずれており、アームカールなどの種目では気になるが、プレス種目の可動域を大きくできるメリットもある
- 動作中、音がカチャカチャがうるさい。そんなにうるさくないという話もある
- 扱いが荒いと本体がゆがみやすいかも。保管時の自重でゆがむのでは、という意見もある
- 検査不合格のB級品などではなく、明らかに工作精度が低いコピー品がある
- コピー品はコアの樹脂の色が半透明で、塗装や溶接が雑で、プレートの隙間が不揃い
正規品とコピー品の違いは、以下の動画がわかりやすい。
▲こちらは、コピー品か。
コアの樹脂が半透明に近く、プレートの隙間が不揃い。
▲こちらは正規品。コアの樹脂が白で、プレートの隙間が規則正しい。上の動画と比較すると、一目瞭然。
パワーブロックは、アジャスタブルダンベルとしては登場したのが最も古い。今となってはボウフレックスやフレックスベルと比べると、デメリットが目立つ。
2016年にモデルチェンジし、全身ブラックのカッコいいヤツに生まれ変わった。新型はあちこち改善されている。
- 手をつっこむ部分が広くなった 新型は旧型に比べると間口が拡がり、リストストラップも巻きやすいそう。
- 重さを調整するピンがプラスチック製となり耐久性が上がった パワーブロックは「コ」の字型のピンをさしこみ重量を調整する仕組み。旧型のピンは金属+プラスチックだが、新型はプラスチックの一体成型となり、耐久性が上がった。
- 下面がなだらかにえぐれた形状となりオンザニーでひざに乗せても痛くない 高重量でダンベルプレスなどをするさい、いったんダンベルをヒザに乗せる(オンザニー)わけだが、下面がカーブ状になっているのでヒザにフィットし、痛くなさそう。
新型は使い勝手がかなり改善されたようだ。黒一色でカッコいいし。しかし高い。
26kgタイプの新型のコピー品は出回っていて、とても安いから、40kgタイプもそろそろ安価で登場しないか、と期待している。
ボウフレックスのメリットとデメリットまとめ
ボウフレックスは、数年前まで安いコピー品(あるいはボウフレックスなんだけど流通過程が正規品と異なる安価品)が出回っていたが、2020年7月現在、アマゾンでも楽天でもコピー品が見当たらない。
正規品もリンクはあるが、在庫はない。
入手難ではあるが、レビューをまとめてみる。
- 通常のダンベルに近い形状で、パワーブロックのような重心のかたよりがない
- リストストラップも巻きやすい
- ダイヤルを回すだけなので、ウエイト変更の時間はパワーブロックよりも早い
- オンザニーのとき、両端のダイヤルをひざに乗せるわけで耐久性が心配
- ダイヤルはしっかりしており、特にオンザニーがやりにくいわけではないという意見も
- ダイヤルは樹脂でおおわれているので冬でも冷たくない
- ウエイト変更時は台座にていねいに置く必要がある
こんなところ。
フレックスベルのメリットとデメリットまとめ
アジャスタブル(可変式)ダンベルならボウフレックスかパワーブロックか、というところに、第3の勢力として登場したフレックスベル。
重さを変えたら重心も変わるというパワーブロックの弱点。
重量が軽くても長いままというボウフレックスの弱点。
後発だけに、それらの弱点を克服している。かたちもミニマルでカッコいい。
レビューをまとめると。
- グリップの回転で重量を変えられ、手間が少ない
- 慣れれば2秒で重量を変更できる
- 32kgタイプだと2kg、4kg、8kg、12kg、16kg、20kg、24kg、28kg、32kgという重量変更。もうちょっと細かく変更したいこともある。
- 手間だけど2kgのプレート位置を変えれば2kg単位で重量変更もできる
- プレートで外側のプレートを順々に支えていく仕組みに不安がないわけではない
- ロックされていないプレートが付いてくることがあり危険
- グリップがちょっと狭いかも
といったところ。
2020年3月、重量変更が2キロ刻みの「インクリメントエディション」が発売された。

従来型は重量変更が4キロだったから、これは使いやすそうだ。
インクリメントエディションと従来型は、大きさ、形、操作性はほぼ同じ。プレート枚数は片側9枚と、これも同じ。
重量変更以外の違いは、グリップの長さと太さ。
インクリメントエディション 長さ105ミリ、径32ミリ
従来型 長さ100ミリ、径35ミリ
となっている。
まだスクリューシャフトのダンベルで消耗してるの?
フレックスベルがいちばん使いやすいとは思うんだけど、32キロまでしかないのがネックか。でも40キロのダンベルって相当な重さで、ケガが怖いから32キロで十分かな。
でも軽くデッドリフトするなら40キロぐらいはあったぼうが。新型パワーブロックの40キロタイプのコピー品が出ないかな……
- 2016-7-10初出
- 2020-02-20最新情報に更新
- 2020-04-09フレックスベルインクリメントエディションを追記
- 2020-07-25改訂