世界最強のバイオハッカーに学ぶ 食事で脳と身体のパフォーマンスを高める方法 「シリコンバレー式 自分を変える最強の食事」

ボディメイクを続けてる。ダイエットと筋トレ。するとぶち当たるのが「何が健康なのか」という問題だ。

体脂肪が減り、筋肉が増えればいいの? そうじゃない。そこは経過地点。体調を良くしたい。アンチエイジングしたい。肉体と脳を、望むように動作させたい。ボディメイクをそこまで発展できないか?

そのために、自己の生態をハックするのが「バイオハック」だ。ライクハックの興味の対象を、自分の肉体に向ける行為だといえる。

本書「シリコンバレー式 自分を変える最強の食事」は、世界最高峰のバイオハッカーであるデイヴ・アスプリーが、カネに糸目をつけず、アメリカ人らしい徹底した合理主義で記した、自己のバイオハックの記録だ。

人の生態 取り巻く環境 複雑すぎるシステムをハックしよう

本書冒頭で著者は次のように述べる。

(前略)僕は「バイオハック」を、つまり「テクノロジーを利して体の内外の環境を変え、望むとおりに動くようコントロールする技術」を追求しだしたのだ。自分の健康をモニターして、気分に、見た目に、仕事ぶりに、人間関係や全般的な幸福にも影響している、隠れた変動要素を見つけ出す(後略)

エンジニアが複雑なシステムをハックするように、自分の生態をハックする、と著者はいう。

「体の内外の環境を変え」というと難しそうだけど、その8割は食事。食べ物って、環境で作られたもので、食事はそれを体内に取り込む行為だから。

食事を改善すれば、体重はおのずと適正になり、健康になる。体調が良くなれば、メンタルが向上し、仕事もできるようになり、人間関係も改善する。

人の悩みは様々あれど、肉体の悪いところを良くして、パフォーマンスを上げれば、そのほとんどは解消するんじゃない? するとバイオハックは「人生を良くするためのハック」とさえ言える。なんだか宗教じみてきたが、肉体の調子を良くすることには、それだけの効果がある、と私は信じている。

ライフハックとはなんだったのか 未知を許さぬ徹底した合理精神

一昔前。「ライフハック」がアメリカから輸入されて日本でもはやった。

世間一般にはライフハックとは、仕事をショートカットする便利なテクニックや、おばあちゃんの知恵的な小技みたいなもの、との認識だった。そんなちょっとしたことに「ライフ」という言葉をくっつけるなんてアメリカ人も大げさじゃない? と思ったっけ。

しかし。

ライフハックとは、アメリカ的合理主義を根っことした、未知の領域を許さない、因果律を解き明かしたいという好奇心なのではないか、という気がする。

ハック、hackの意味を調べると、抜け穴をみつけてうまくやる、みたいな雰囲気だ。システムの全体像は解明できないが、まずは取り組んでみてうまくいったらそれでいいじゃないか、というチャレンジを感じる。

その好奇心が自分の肉体に向いたら、バイオハックとなるのだろう。デイヴのテキストからは、自己の肉体への溢れ出る好奇心がひしひしと伝わってくる。

自分の身体をハックしよう

デイヴは大金と時間を投じ、世界を旅し、文献から知見を得て、あらゆるダイエットを試す。

Amazonレビューには、

「これはお金持ちだからできる手法で、庶民は食べ物にこれほどコストをかけることはできない」

「この本に書いてあることを試したが体調は良くならなかった」

という声もある。

それはそうだろう。デイヴはシリコンバレーで成功して富を手に入れた、190センチオーバーの白人男性だ。普通の日本人には真似できない。真似しても上手くいくとは限らない。

デイヴは自分の身体を丹念に観察し、どのような不調でも執念をもって原因を探り、解決を図る。そのハッカー精神、飽くなき好奇心を見習うのが、本書の正しい読み方じゃないかな。

体調が良くなればQOLが上がる

私も食事を記録して、体調を管理しているつもりだったが、本書を読むと、自分の甘さにガックリした。

身体の不調を、なんとなく記録しているだけで、その原因を徹底して探ったりはしなかった。

本書からは多くの示唆を得て、できる限りのバイオハックを行い、体調を改善してきた。様々に生活習慣を変化させて、体調は劇的に良くなった。肉体だけでなく、性格さえ良い方向に変わった気がする。

その結果はこのブログの記事にも書いてきた。QOLは上がった。バイオハックで幸福になった、といっていいだろう。

「これだけで痩せる」ダイエットの愚かさ

本書で紹介される完全無欠コーヒー(バターコーヒー)が流行った。飲むだけでやせる、みたいな。けど、本書のどこにも「バターコーヒー飲むだけでやせるよ」とは書いてない。

これを飲むだけで痩せる、というダイエットはたいていウソ。コーヒーにバターを入れるという斬新さだけで、メディアが取り上げたんだろう。

身体とは複雑すぎるシステム。「◯◯だけで痩せる」という言説は、たいていウソだと思っていい。

自分の健康法は自分でしか作れない

本書に書いてあることは、ほぼ全編、デイヴの体験だ。頻繁に研究結果の引用もされるが、大半はエビデンスが低い。矛盾も散見される。合理主義者の主張が必ずしも合理的であるとは限らない。

だから価値がないわけじゃない。この本は、デイヴにとっては最高の健康法。それが誰にもあてはまるわけじゃない、ということ。

人の肉体は個体差が大きい。生活習慣や加齢により、その個体の状態も、刻々と変化していく。あなたが何をして、あるい何をしなければ、体調が良くなる。悪くなる。医師にはそんなことはわからない。デイヴにもわからない。

あなた自身も、よくわかっていない。人の肉体と、それを取り巻く環境は、複雑すぎるシステムだから。バイオハックとは、そこをじっくりと観察して、体調が良い方向に変化するよう、アプローチする行為だ。

デイヴのように大金を投じなくとも、まずは食事と体重を記録するだけでも、立派なバイオハックだ。人生が良くなるんだから、これほど効果が高いライフハックもないだろう。

初出2016-02-11

この記事を書いた人

カズナリ

カズナリ

雑記ブログ「カズログ」の中の人。1971年生まれ。180cm80kg。ブロガー/ひとり社長。ツイッターで捕まえた年が半分の嫁が自慢。好きなことは家族/会社経営/作文/筋トレ/写真/ノート術。